なぜ人が書く矢印は右向きなのか |
■実例 |
近くにいた人に「矢印を3種類書いてみて」と言って紙を渡したところ、以下のように書かれて返ってきました。 「すべて右向きで」とは一言も言っていないにもかかわらず、 書かれた3つの矢印はすべて右を向いています。 おそらく皆さんも同様のことを言われたら、 よほど深読みしない限りすべて右向きの矢印を書くのではないでしょうか。 このサイトの矢印図鑑の矢印もなぜかすべて右を向いています。 しかし、改めて「なぜ?」と聞かれると難しい問題のように感じられます。 |
■なぜ右向きか |
その理由の本質は、矢印というより直線の書き方にあると考えられます。
例えば、「水平線を書いてみてください」と言われたら、
ほぼすべての人が左から右へと線を引くでしょう。
線が左から右に書かれるならば、矢印の先頭は右側に書くのが自然ですね。
これが矢印が右を向く理由と考えられます。 ではなぜ線を左から右に書くのかということですが、 それは漢字・ひらがな・カタカナのいずれも左から右に引く線が主体となっているからと思われます。 さらに文字を書いていく方向も左から右です。 これは日本語だけでなく、多くの言語でも同様ですね。 ではなぜ文字を左から右に書くのかということですが、 右利きの人は左から右に書く方が書きやすいから、と一般的にはされているようです。 右利きだと、すでに書いた文字が手で隠れないからという面もあるかもしれません。 またこの影響で、人が描く魚や鳥はほぼ必ず左を向く、という法則もあります。 矢印の方向と矛盾するようですが、 左側から描く+重要な部分(頭)から描く→頭が左側に来る という流れのようです。 |
■アラビア語 |
しかし、アラビア語では文字は右から左に書かれます。
すると、アラビア語圏の人が自然に書く矢印は左向きなのでしょうか。
あいにくそういった知人はいないので直接確かめることはできませんが、
しばらくアラビア語のサイトを回ってみたところ、以下のような例が見つかりました。 もちろん、これらの例に反するものもたくさんありましたが、 全体として、向きに関する感覚が日本人とは何かしら違うように感じました。 なので、矢印を右から左に描いたとしても全く不思議ではないように思います。 |
■まとめ |
一つ大きな謎は残ったとはいえ、
少なくとも日本人は直線を左から右に引き、
その結果として矢印は右向きになる、と言えます。 つまり、 矢印が右向きなのは「線を左から右に引くことに慣れているから」 だと考えられます。2008.07.01掲載
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